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7月のレクチャー【ウィリアム・ターナー ~印象派誕生のキーパーソン~】を終えて [アートレクチャー]

PROJECT K : Kikko & Youki の アナログブログ
2015.07.21(執筆担当:Youki)たぶんVol.222
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【ウィリアム・ターナー ~印象派誕生のキーパーソン~】
と題したアート鑑賞レクチャーの最終日を、7月18日(土)に無事に迎えた、Youkiです。

日本での知名度がイマイチなのがもったいないくらい、実は数々の“美術史上・初!”をやってのけた画家・ターナーの凄さを、存分にお伝えすることが出来たと思っています。

私のアート鑑賞レクチャーでは、どんな感想でもどんどん間に挟んで頂いてOK(嬉しい)なのですが、今回のターナーでも、とあるお客様の感想に、むしろ私が絵の新しい見方を教わるエピソードがありました。

ターナーは18世紀後半~19世紀前半に活躍した、イギリスの風景画家です。

まだカメラが存在しなかったこの時代、風景画は写真代わりということで、
風景画家が、今で言う“旅ガイドブック用フォトグラファー”として活躍していた時期がありました。
当時特に人気のあった風景は、“秘境の大自然”なのですが、“秘境”というだけあって、全ての人が実景を目に出来るわけではない。
そこで、“秘境に行った気分になれる、写真(風景画)付きガイドブック”が19世紀初期のヨーロッパでも売り出され、ヒット商品になりました。

そしてターナーは、まさにそんな“秘境フォトグラファー”のはしりでした。

↓ターナーは、秘境の風景をこんなふうに残しました↓          ↓かたや、他の秘境画家は、こんな感じ↓
ブログ1.jpg
↑ターナー作:                                  ↑カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ作:
【雪嵐、アルプスを越えるハンニバルの軍勢】(1812)         【氷海 (難破した希望号)】(1823-25) の部分

見比べてみると、いかがでしょう?

左(ターナー)>>秘境のもつ、“自然のパワー”と壮大な雰囲気を感じたいならこっち。
右(カスパー)>>秘境のもつ、壮大な情景(見た目)を知りたいなら、こっち。

・・・かなぁと、私は診ます。

だから、もしこの二作品が掲載されたガイドブックのどちらかを買うとしたら、秘境初心者の私は、まずは情景が詳しく分かるカスパー版(右)を買ってしまうと思います。

でも、秘境マニアさんは、ターナー版(左)を買うような気がします。
心に訴える“秘境の畏れ多さ”がターナー版(左)の方が強く感じられて、目が離せなくなるからです。

・・・というような、感想を私がとある日のレクチャーで述べたところ、ひとりのお客様がこうおっしゃいました。
「この傾向とスタイルの違いって、浮世絵の広重と北斎、そのものだっ!
カスパーは広重で、ターナーは北斎だね。」

・・・確かに、そうかも! 広重も北斎も、旅絵師だし!

言われてみると、このターナーの風景画なんて、葛飾北斎の【神奈川沖浪裏】、通称【大波】、にそっくりです。
ブログ2.jpg
↑ターナー作:                                     ↑葛飾北斎:
【雪嵐、アルプスを越えるハンニバルの軍勢】(1812)            【冨嶽三十六景#21:神奈川沖浪裏】(1831初版)

そして、カスパーさん似の広重作品も、見つけました!
ブログ3.jpg
↑カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ作:                      ↑歌川広重:
【氷海 (難破した希望号)】(1823-25) の部分              【東海道五十三次#31:舞坂(今切真景)】

その方は浮世絵がお好きで、よく美術館で鑑賞されたり、画集を集めたりしてらっしゃるそうなのですが、曰く、
「最初は、北斎よりも、広重の整った情景の美しさに目が行くんだ。
 ・・・でも、何十枚と見ていると、広重は飽きてきちゃうんだよね。面白味を感じなくなるというか。
 そうすると、北斎の天才的な“外し”と“大胆さ”がクセになって、目が離せなくなるんだ。
 とはいっても、やっぱり広重も綺麗だなぁと思うから、捨てがたいんだよね。」

最初は王道に魅了され、目が肥えてきたら、
ちょっと外しの効いた個性的な作品に面白味を感じられるようになる。
でも、やっぱり王道の魅力は、王道だけあって色褪せない。
・・・という美の傾向は、時代と国を越えて同じですね、ほんと。

なにごとも、「王道」と「個性派」、両方の良さをバランス良く備えたモノが、
長く生き残れるのでしょう、やはり。

とういうことで、“個性派”であることについては自信のあるPROJECT K ですが、
PROJECT K の“王道さ具合”を、どうか皆さま、客観的に教えて下さいませ!?